概要
乳腺の中にある乳管という乳汁の通り道の細胞が異常に増殖する状態をいいます。その場所で増えるだけであればよいのですが、体の他の場所にも広がり、生命活動を脅かすことが問題になります。いくつも種類があるがんの中で乳がんは女性が最もかかりやすいがんのため注意が必要です。40歳以上に多く、女性ホルモンは原因のひとつで、リスク因子として、初経年齢が早い、初産年齢が遅い、出産歴がない、授乳経験がないなどがあります。遺伝性のものもあり、血縁者に乳がんの方がいればリスクは高いです。
症状
しこりを感じて診断されることが多いですが、違和感や痛みを伴うこともあります。目で見た時に乳房の皮膚や乳首が変形、変色することがあります。腕を動かした時にだけ同様の症状や見た目の変化をきたすこともあります。乳房を押した時に乳首から出血することがあります。リンパ節に転移があるときは脇の違和感でみつかることもあります。
乳がんの症状、できやすい場所
- 乳房のしこり
- 乳房皮膚のくぼみ・引きつれ
- 乳頭から分泌液が出る
- 乳頭が変形・陥没した
- 乳頭のただれ
- 脇の下のしこり
乳がんは乳腺に発生するがんですので、乳腺の多い場所に発生しやすい傾向があります。最も多いのは乳房外側上部であり、次いで乳房内側上部・外側下部に発生しやすいとされています。
原因
乳がんの原因はわかっていないことも多いですが、下記のような要因が知られています。
- 過剰な体重
- 運動不足
- 妊娠出産を経験しなかった
- 初産年齢が遅い
- 授乳しなかった
- 喫煙歴がある
- 多量の飲酒習慣
- 家族に乳がんになった方がいる
検査
視触診、マンモグラフィ、超音波で腫瘍をさがします。
診断
最終的には細胞/組織検査でがんを診断します。
予後
一般的には治療せずに放置すればがん細胞が増殖、体中に広がり、命を脅かします。
治療
手術、放射線治療、抗がん剤、ホルモン治療を組み合わせて治療します。
当院の診療内容
大学病院、総合病院などの高次医療機関をご紹介します。患者さんのご希望の病院があればそちらにご紹介もできますが、当院からもいくつか病院をご提案できます。「自宅から通いやすい」、「早く手術したい」、「症例数が気になる」、「有名な先生」、「再建手術は?」、「最先端の医療」、「頭皮冷却装置がある」、「抗がん剤はやりたくない」、「どんな治療も受けたくない」、「どうしていいかわからない」、いろいろご要望はあると思います。
乳がん検診と困った時の乳腺科受診で早期発見・早期治療
乳がんは早期発見と正確な診断・治療によって、比較的治しやすいがんです。症状がなくても定期的な検診を受け、症状を自覚したときには早めに乳腺科を受診することで早期発見ができます。そうすれば乳房を全部切除せずに温存できたり、抗がん剤を回避できたり、治療の選択肢が広がり、身体への負担がより少ない治療ができます。