マンモグラフィ検査

マンモグラフィとは

マンモグラフィ乳がんは身体の表面近くにできることから、がんの中では早期発見が容易ながんとされています。ただし、乳房は厚みがあって軟らかいので通常の胸部X線検査では異常の発見が困難です。マンモグラフィは乳がんが発生する乳腺を鮮明に映し出すためにつくられた乳房のためのX線検査機器で、乳房を圧迫することで平たく薄く引き伸ばして微細な病変の発見を可能にしています。また、薄くすることで被ばく量を抑制できますので、安全性も高くなっています。
撮影の際には乳房をはさんで圧迫します。一般的な乳がん検診では斜め方向の撮影のみが行われる場合もありますが、はさむ方向を変えて複数回の撮影を行うことで微細病変発見のチャンスが増えることから、当院では片方の乳房に対して上下・左右の2方向撮影を行っています。

マンモグラフィの有効性

欧米では近年、乳がんによる死亡率が低下しており、その理由としてマンモグラフィによる検診の普及が言われています。
一方で日本の場合、検診によって死亡率減少効果まではまだ検証されていません。欧米と同様の効果があるであろうことは予想されていますが、日本の検診受診率の低さは今後改善する必要のある問題です。

マンモグラフィと超音波検査との違い

マンモグラフィは、乳房を圧迫して薄く、平らに引き伸ばしてX線撮影をする検査で、微細なしこりや石灰化の発見が可能です。超音波検査は、乳房に超音波を当て、返ってくる音波を画像にして乳房内部をリアルタイムに観察ができる検査です。高濃度乳房の場合でもしこりを発見しやすいというメリットがあります。
両検査にはそれぞれ特徴があり、両方を受けることで効率的に乳がんの早期発見が可能になります。

マンモグラフィの痛み

マンモグラフィでは、乳房を薄く、平たく引き伸ばすことで高い精度の検査と被ばくの低減を実現しています。微細な病変の発見にはできるだけ薄く引き伸ばすことが有効であることから、乳房を板状のものではさんで圧迫して撮影します。マンモグラフィでは、圧迫による痛みに対して不安を感じる方が多くなっています。
当院では、研鑽を積んだ女性技師が数秒から最長でも10秒程度の圧迫で撮影できるようにしています。また、当院では低線量と高精度の検査を可能にする最新のマンモグラフィ機器を導入しています。この機器には、乳房圧迫完了後に厚みが変化しない範囲で減圧を行って痛みを軽減する圧迫自動減圧制御機能が搭載されています。こうしたことで当院では従来よりも痛みを軽減した検査が可能になっています。
ただし、痛みの感じ方には個人差があり、乳腺量の多い高濃度乳房の方は強い痛みを感じやすい傾向があります。その場合には超音波検査の方がしこりは発見しやすいことから、乳腺専門医と相談した上で検査メニューを決めていくことも可能です。マンモグラフィに対する不安がある方はお気軽にご相談ください。

検査を受けるタイミングで痛みを最小限に

乳房の状態はホルモンの影響を受けて周期的に変化します。月経前の1週間は乳房が張る傾向があり、圧迫による痛みを強く感じやすい時期です。月経後の1週間程度は乳房の張りがとれて軟らかくなっていますので、痛みを最小限に抑えた検査が可能になります。

マンモグラフィと被ばく

マンモグラフィはX線検査であり、軽微とはいえ放射線被ばくがあります。ただしマンモグラフィは薄くなった乳房の限定された狭い範囲だけを撮影しますので、他の部位を撮影する場合に比べて被ばく量は大幅に低減されています。また、当院では高精細画像を得ながら放射線量を低減する高度な画像処理技術が複数搭載された最新機器を導入しており、自然界で受ける放射線と同程度の被ばくに抑えて安全性を高めています。
乳がんは発症リスクが高く、がんによる死亡数でも増加傾向にありますが、早期発見できれば治せる可能性の高いがんであり、定期的な検診とセルフチェックで早期発見しやすいという特徴を持っています。ただし、乳がんは進行させてしまえば命や乳房を失う可能性があります。マンモグラフィによる早期発見は、被ばくのデメリットよりもはるかに大きなメリットにつながります。

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